荒川先生インタビュー「コラーゲンが必要な理由」

「なぜ、体づくりにはコラーゲンを摂らなくていけないの?」
「ほかの食品ではダメな理由は?」

私たち一般の人間が抱えるそんな当たり前の疑問に、栄養士の荒川智子先生が答えてくださいました。

食が体に与える影響を知り尽くした荒川先生のお話では、「コラーゲンにはコラーゲンだからこそ含まれるアミノ酸がある」とのこと。そのアミノ酸こそが体を支えるコラーゲンのベースとなり、結果、健康的な体づくりに欠かせない存在になるのだそうです。

栄養士という食のスペシャリストから見たコラーゲンが必要な理由、コラーゲンの構造、摂取の方法などについて、詳しく教えてもらいました。

コラーゲンが私たちの体に必要な理由

-先生、栄養士という食のスペシャリストの視点から見ても、コラーゲンは人間に必要なものだとお考えですか?

そうですね、コラーゲンは人間に必要な栄養素です。
人間の体に存在するたんぱく質の約3分の1は、コラーゲンで出来ているんですよ。コラーゲン=肌に良い、と認識されがちですが、骨もたんぱく質であるコラーゲンとカルシウムなどのミネラル分をメインに構成されています。さらには血管にも欠かせない存在なんです。

-「コラーゲンは肌に良い」という内容を謳い文句にして売り出しているところが多いですよね。でも実際は肌だけでなく骨も血管も支えている、と。肌や骨・血管はそれぞれまったくの別物に思えるのですが、すべてをコラーゲンが支えているって不思議ですね。

たしかに、それぞれ別々の役割を持っていると思えますよね。でも、体を守るという点では共通しています。

コラーゲンは強固な三重らせん構造を形成していて、この構造が弾力のある肌や、柔軟な血管、丈夫な骨を支えているんです。コラーゲン繊維の構造が乱れてくると、老化物質であるAGEs(ペントシジン)が、皮膚や骨の配列を乱してしまいます。すると皮膚や血管、骨の劣化に繋がってしまうんです。

体内コラーゲンを安定させるためにはどうすればいい?

-なるほど、体を劣化させないためには、コラーゲンを安定した状態で保っておくことが大切、ということですね。でも先生、体内のコラーゲンを安定させるにはどうしたらいいんですか?

はい、体内のコラーゲンを安定させるにはどうしたらいいか。それにはコラーゲンを食べるのが理想です。体内コラーゲンは口から摂取したコラーゲンで安定させられます。ちょっとコラーゲンが出来る仕組みについてお話をしましょうか。

コラーゲンを食べて摂取すると体内で分解され、コラーゲン・ペプチドという物質やアミノ酸になります。そのうちのアミノ酸が、体内でコラーゲンに再構成されるんです。
コラーゲンのアミノ酸には“ヒドロキシプロリン”、“ヒドロキシリジン”といった、他の食品ではあまり見かけないアミノ酸が含まれています。
舌を噛みそうな名前ですよね(笑)この“ヒドロキシプロリン”、“ヒドロキシリジン”が、コラーゲン繊維構造の安定化に役立っています。
ちなみに“ヒドロキシプロリン”、“ヒドロキシリジン”などのアミノ酸やコラーゲン・ペプチドには、関節炎を始めとする炎症系の病気の緩和効果もあるとされています。

-“ヒドロキシプロリン”、“ヒドロキシリジン”……たしかに発音しにくい!でもこれらのアミノ酸が、体内のコラーゲン生成において重要。そして両アミノ酸は他の食品には少ないけど、コラーゲンにはしっかり含まれている。これがコラーゲン生成にはコラーゲン摂取が欠かせない理由なのですね。じゃあコラーゲンをたくさん食べれば良い、ということでしょうか?

コラーゲンであれば何でも食べれば良い、というよりは、質の良いコラーゲンをしっかり摂ることが大切です。

コラーゲン自体はいろいろな食品の中に含まれているんですよ。でも体の健康を保つ体内コラーゲンが求めているのは、より良質なアミノ酸です。これら良質なアミノ酸は、同じく良質なコラーゲンに含まれています。
でも食事制限のある人、忙しくて食事が不規則で栄養が偏ってしまいがちな人は、良質なコラーゲンなんてなかなか摂れないですよね。そういう人は、サプリメントから補うことも有用だと思います。良質なコラーゲンサプリメントを選ぶことが大切ですね。

あともうひとつ。コラーゲンと一緒にビタミンCを摂ると、なお良いですよ。ビタミンCはアミノ酸と一緒になってコラーゲン繊維の安定化に寄与してくれるのでおすすめです。

良質なコラーゲン……由来成分や加工方法も意識して選びたいですね。摂取のしかたのアドバイスまでいただけて、感謝します。先生、本日はありがとうございました。