医療用途としてのコラーゲン

高分子系生体材料は、組織や臓器の機能を代替し、修復する機能を保持している必要性があります。生体内において細胞は細胞外マトリックスに囲まれており、多くの場合、コラーゲンを主成分としています。

医療用途としてのコラーゲンは生体内で分解される高分子が用いられることが多く、細胞の足場材料としての意味を持ったものです。生体材料としては、生体適合性、生体吸収性、加工性を有する必要があります。

天然高分子材料としては、コラーゲン、ゼラチン、グリコサミノグリカン、キチン、キトサン、ヒアルロン酸などが用いられています。一方で、合成高分子材料としては、ポリ乳酸(PLLA)、ポリグリコール酸(PGA)、乳酸とグリコール酸の共重合体(PLGA)、ポリカプロラクトン(PCL)などが主です。天然高分子材料のみでは、機械的強度の保持が難しく、合成高分子との複合化材料も開発されているのが現状です。

 コラーゲンは、再生組織や臓器の機能を代替・修復するための生体材料として重要であることは紛れもない事実です。特に、細胞の足場として有用な材料であることは間違いありません。しかし、物理的強度が確保できず、合成高分子とのハイブリット材料として利用されることが多いのが現状です。