化粧品としてのコラーゲン

化粧品として利用されるコラーゲンには、未変性のテロペプチド部を酵素分解したアテロコラーゲンおよびサクシニル化修飾アテロコラーゲン、コラーゲン加水分解物、コラーゲンに由来するアミノ酸であるヒドロキシプロリン、およびアセチル化ヒドロキシプロリンがあります。

大部分の化粧品は、コラーゲン加水分解物を使用することが多いですが、未変性コラーゲン配合化粧品や凍結乾燥コラーゲンに水を加えて使用するものも発売されています。また、レシチンにコラーゲン加水分解物を保持させたものも登場しており、完全化学合成したコラーゲンペプチド(Gly-Pro-Hyp)6も販売されています。このように、一口でコラーゲンといっても、内容はかなり違いますね。

 

<なぜ化粧品にコラーゲンを混ぜるの?>

コラーゲンを化粧品に配合する意味合いとして、コラーゲンの持つ保湿性にあると考えられるでしょう。また、コラーゲンは使用感が良いため、多くの商品に配合されています。安全性も高く、無色・無臭であり、他の配合原料と混ぜても問題が生じにくいという特質があります。

さらにコラーゲンは弱酸性~中性で溶解するので化粧品として混ぜやすく、その上コラーゲンの美容に関するイメージが良い事というのも、化粧品に多用される理由です。

 

<コラーゲンの経皮吸収性>

化粧品としてのコラーゲンの保水効果を構造の面から考察している論文があります(谷原正夫 監修、コラーゲンの製造と応用展開2009; 第12章 化粧品とコラーゲン:143)。棒状分子であるコラーゲンが、皮膚表面に薄い膜を形成して広がり、水分蒸散を抑制します。コラーゲンの分子上には、疎水性と親水性の部分が交互に存在していることから、緩和な界面活性作用および有効成分の保持能を高めていると報告しています。

また、コラーゲンは皮膚の角質層との馴染が良く、表面に広がる感じです。クリームの使用感を確認するのに内側の腕に伸ばしますよね。コラーゲンが入っていると、その効果が高いという事です。

皮膚の上でコラーゲンが伸びている

経皮吸収性に関しては、疎水性と親水性のバランスにもよりますが、分子量1000以下であれば吸収されるといわれています。コラーゲン加水分解物の場合、分子量が1000よりも小さければ吸収される可能性があるという事ですね。毛穴から吸収されることも多いようです。

機能性化粧品というのが日本人の好みに合うようで、「保湿効果バツグン!」「皮膚が若返る!」といった謳い文句をよく見かけます。これまでの化粧品の概念は、皮膚吸収しない、させない、というような素材が選ばれてきましたが、積極的に吸収を謳う化粧品に進化したという事でしょう。