コラーゲン、ゼラチン、にかわ、コラーゲン加水分解物

<コラーゲンについて>

コラーゲンの語源について調べてみました。

コラーゲンの語源は、ギリシャ語の「Kolla(コラー);膠(にかわ)」と「gen(ゲン);~のもと」から成り立っています。にかわのもと、という意味ですね。

いわゆる接着剤的な意味合いが大きかったのでしょう。実際に、エジプトのファラオのお墓から出土した棺は、膠(にかわ)でしっかりと接着されており、その中でミイラが保存されていたという話もあります。

 コラーゲンは、皮、骨、腱、肺、心臓、腎臓、肝臓、筋肉、血管、角膜や腸などの主成分です。動物の体を構成するすべての「たんぱく質」のうち、約1/3をコラーゲンが占めています。論文で公表されていませんが、ある研究者がネズミのたんぱく質を調べたところ、確かに1/3がコラーゲンだったそうです。

コラーゲン、ゼラチン、コラーゲン加水分解物の違いを図解しました。もとがコラーゲンで、形がくずれたのがゼラチン、それが小さくなったのがコラーゲン加水分解物です。この関係が分かるとコラーゲンの専門家になれますね。

「コラーゲンの日」というのを、あるゼラチン製造企業が制定しています。コラーゲンを溶解する技術を特許化できた日を記念して、制定したそうです。これまでコラーゲンはたんぱく質の研究者の中ではよく知られた存在ではあったものの、溶かすのが難しい「たんぱく質」という認識でした。

やがて、酢酸やペプシン(胃の中の酵素)で溶かすという画期的な特許が生まれ、溶解したコラーゲンが化粧品の原料としてアメリカで製品化されるようになります。この会社では、生コラーゲンとして基礎化粧品を販売しています。

 

<ゼラチンについて>

ゼラチンの語源は、ラテン語の「gelatus(堅い、凍った)」に由来しているそうです。日本ゼラチン・コラーゲンペプチド工業組合が、7月14日をゼラチンの日として制定し、普及活動を行っています。『冷やすと固まり、温めると溶ける』というのが言わずと知れたゼラチンの特徴ですね。

ゼラチンは、主にウシの脱灰骨(オセイン)や皮から、酸またはアルカリ溶液を使って抽出されます。その後、中和、脱塩操作の後、ドラム乾燥という方法が、一連の製造過程です。

ゼラチンの分子量は数万であり、加熱すると溶解し、冷却すると固形ゲルになります。ゼラチンは、抽出回数を増やすごとに低分子化していくため、溶液のブリックス(Brix, 屈折率に相当する)によって分子量の確認作業を行っています。多くの場合は、風化したオセインを輸入して使用しています。

ゼラチンの由来は動物ならウシ、ブタ、魚の場合は骨、皮、鱗が使われています。学生時代はブタ皮からコラーゲンを作って研究をしていました。脂を除くのと、独特の臭いがつくので大変な思いをしたものです。

助手になってからはサンマやイワシの鱗が研究材料でした。漁港のヘドロの原因になっており、その利用方法を見つけるのが仕事でした。今のSDGsのはしりですね。

研究のおかげで、コラーゲンの製造方法を企業に教えるほど自分自身を成長させられた、と言えるでしょう。

 

<膠(にかわ)について>

膠(にかわ)は、和膠および洋膠の2種類に分類されます。基本的な区別として、和膠にはゼラチン以外のプロテオグリカンや球状たんぱく質などが混ざっています。洋膠はゼラチン純度の高いものです。JIS(日本産業)規格によって、粘度およびゼリー強度の違いを、1種から5種までランク分けされています。

膠とゼラチンは、区別して基準が設定されており、粘度が高く不純物が多いものが膠です。洋膠がゼラチンに相当していますね。国内で生産量が伸びたのは、マッチ(今では、ほとんど見かけませんが)の軸に使われた事で、リンを固めるのに使用されていました。

膠は天然素材の接着剤で、弦楽器の接着剤や文化財の修復用として活躍しています。また固形墨、日本画には必須であり、なくてはならないものです。2009年に三千本膠の製造業者が廃業してから、日本画の製作者は非常に苦労してきました。顔料の分散体としての膠の重要性が再認識され、播州膠として復活するまでは、かなり大変な思いをしたという話も聞いています。

膠の製造方法が口伝であったため、試行錯誤による製造になったようです。記録に残す事は重要ですね。

 

<コラーゲン加水分解物について>

水に対して容易に溶解し、冷却しても固形ゲルになりにくいものをコラーゲン加水分解物としています。コラーゲン加水分解物は、ウシ、ブタ、魚の皮や魚鱗が原料であり、酵素分解によって生成される分子量5,000以下のペプチド(アミノ酸が結合した)です。

薬局やコンビニで販売されているコラーゲン入りドリンクやゼリーは、コラーゲン加水分解物が入っています。無味・無臭で、いろいろな味や香料を入れる事で消費が伸びました。1番大きいのは、お菓子メーカーがコラーゲン飲料や粉を売り出したことですね。今では、化粧品会社や菓子製造会社、製薬会社がしのぎを削っています。

味は薬用感を出して漢方系の味になっているもの、酸性を強く意識したもの、ビタミンCを強調したもの、果物のイメージなど、美容を意識した味が多いですね。ゼリータイプもあり、コラーゲン含有量、カロリー、フレイバー、他の含有成分などの違いが販売会社の特徴によって違うのが興味深いです。

値段にも差があるため、消費者が勉強して自分に合ったコラーゲンを選ぶことが大事です。

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